コラム
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2010.07.21
外来診療の実際 生活習慣病
生活習慣病についてのコラムです
診療の中心は、高血圧、耐糖能異常、脂質異常症が多く、健診での指摘に加え、自覚症状の有無に関わらず家庭血圧から血圧異常を見つけ、検査治療を求めて受診される症例が増えています。このような患者さんは、健康維持に対する病識や現症に危機感を抱いており治療にも前向きな姿勢が窺われます。
検査項目は窓口支払いの医療費も3割負担では高額となり得るので最近の検査データがあれば重複を避け再検査が必要な点のみとし、臓器重症度、合併症の検索を目指します。すなわち、心電図、尿中微量アルブミン、脈波(CAVI)測定あるいはHOMA-Rの計算のため空腹時IRIなどは大切な評価項目と考えています。
血漿レニン活性やアルドステロン濃度のチェックは、特殊例のみです。心電図異常などから心機能障害が懸念される例ではBNP迅速検査、さらには心エコー図と進みますが、院内で直ちに施行できるため通院が大変な年配の方や多忙な方には喜ばれているのではと思っています。
さて栄養指導となりますと、病院勤務の頃は栄養指導指示箋~塩分○g、○○kcal~で済んでいましたが、今は製薬メーカーから頂いた患者教育資材等を叩き台に小生が行っています。小生は料理といっても生卵と大根おろしができる程度でしたが、最近は手前味噌ながら食品換算や栄養素の調和、塩分制限のイメージ位は講釈できるのではと自負しています。
また、病棟、外来、検査室と今よりは遥かに広い病院内を急ぎ歩き回り、時には心臓マッサージをした勤務医の頃に比べ今では小生の運動不足は著しい限りで、体重、腹囲いずれも増加は否めず、ウォーキング60分/日を自らに励行し、その実際から距離、時間、歩数などを具体的に患者に説明していますが、小生自身の効果が捗々しくないだけに説明力に欠けているようです。
高血圧や糖尿病あるいはその合併した場合の治療は、厳格な血圧コントロールに加え、長期にわたる良好な血糖コントロールの実践に尽きます。このことが心血管イベントの発症抑制につながることに今は試行錯誤の中で小生なりに説明していますが、患者さん自身が理解し、主体的に治療に取り組まれることが何よりの目標です。
また虚血性心疾患の症例については小生が勤務医の頃PCI施行した方や専門病院からの逆紹介の患者が主ですが、陳旧性心筋梗塞を伴う心不全合併例は無床クリニックでは難渋する時もありますが、同門の専門病院のバックアップが何より心強い限りです。不整脈は発作性心房細動がほとんどで可能な限り洞調律維持を目指しています。今はワルファリン治療のモニターとしてPT-INRが2分でわかり大いに役立っています。他、ペースメーカー外来は年3回としています。とはいえ、専門性より‘町のお医者さん’としての一般内科の症例の受診もかなりを占めます。季節柄の感冒、花粉症、感染性胃腸炎などですが、このクリニックはいつまでも咳や鼻汁が治らないヤブ医者との評判も癪な話なので、治療薬の強力な秘伝のレシピを日々練っている最中です。