コラム
コラム
2010.08.03
慢性閉塞性肺疾患と循環器疾患
最後に循環器内科を受診するCOPDの例が以外と多いことを紹介したいと思います。
COPDは喫煙と関連して生じる生活習慣病といえます。またCOPD自体が動脈硬化のリスクファクターであり虚血性心疾患リスクを1.5~2倍上昇させるとの報告もあります。
しかし、ルーチンにスパイロメトリーも難しいところで、長期間の喫煙歴や慢性の咳嗽、喀痰、労作時息切れの病歴とX線上の肺過膨脹、肺透過性亢進などから診断するのですが、当院外来通院中の症例のCOPD併存の頻度を検討したところ高血圧、虚血性心疾患、弁膜症などの循環器疾患患者の20%にみられました。これらの症例(平均年齢73歳男性36例女性6例)に抗コリン薬吸入による気管支拡張療法を導入したところ、平均9ヶ月の投与で、喀痰・息切れの明らかな軽快とFEV1.0の有意な増加、肺年齢の改善を認めました。
また、室内気のSpO2も96.8%⇒97.8%と上昇し、呼吸器系のパラメーターは当然の如く改善したのですが、更に血中BNP濃度が100.4pg/ml⇒61.7pg/mlと減少しました。また肺性P波としてのⅡ誘導のP波高増高も0.23mV⇒0.20mVと有意な低下を認め、気管支拡張療法が右心負荷改善をもたらしたと推察した次第です。
こうして実際開業してみると、病院勤務での経験も未熟の限りであったことを痛感する昨今で不安の限りの日々の診療ですが、治療効果の向上がもたらす患者満足度アップを目指しています。 乱文にお付き合いいただき感謝申し上げます。今後ともご指導の程お願いします。